【本レビュー】告白 湊かなえ

割と本屋にふらっと行ってしまうのですが、その影響もあって積み本してしまっているものも多々あったりします。

本棚には15~6冊ぐらいの積み本…先にそれを読めって話なのでしょうが、ついつい気になる新刊から読んでしまったりして積み本の消化はままならず。

というわけで、話題になったのはもうかれこれ7年前ぐらいらしいです(帯に2010年って書いてあるので)が、映画にもなっている湊かなえさんの告白を読んでみました。

そういえば当時勤めていた会社の事務の子が「面白かったですよ」って言っていたのを思い出します。

なかなか本読み仲間というのがいなくて、本の貸し借りなんてその子ぐらいでしたねー。

いやはやナツカシス。

…さて、本題に。基本的に映像や話題の基礎知識を持っていないかったので、その一人称の「告白」スタイルで進んでいく文章に圧倒されました。

それなのに、スイスイと読み進められてしまうし物語にグングンと引き込まれる展開は、読む側にとって止めどころを失うタイプの小説。

「これは話題になるわけだ」

って思いましたね。実際には淡々と語られていく告白が、冷静に語られる告白が、あたかもすべてが本当のことのように語られる告白が、そこはかとないんだけど気が付いたら怖いって感じさせる作品。

ところで、途中にふと引っ掛かったんですが…これ、すべてが個人の「告白」という形がゆえに、嘘をついている可能性も否定できないはずなんですよね。

後書きに映画監督のインタビューがあるのですが、そこでも同様のことが書かれていて「そうですよねー、この作品の肝はそこにもありますよね」って思わず同意してしまった次第。

機会があったら映画の方もみてみようかななんて考えています。

ああ、そうそう事務の子に伝えておかないとね。

「面白かった~」って。

スポンサーリンク

先生の思惑、生徒の行動、そして収束しそうな終盤での劇的な展開

幼い娘を亡くしてしまったシングルマザーの先生。事故と思われていたその一件が、そうではなく生徒に殺されたという衝撃の告白をする。

もし学生時代にこんなことがあったとしたら、下手すればトラウマになりそうなぐらいショッキングなホームルームになると思います。

しかも、ささやかな感じで語られる先生が仕組んだ「復讐」が、また怖いんですよ。

それを受けての生徒の行動、生徒の母親、実際に行われていた事件の真相、すべてが一本の線でつながっていく。

でも、そこでふと疑問に感じる部分が。果たして、先生の「復讐」は本当に実行されていたのか?

登場してくる人、それぞれの目線からの告白により浮かび上がる事実が収束しつつ、予想外の展開につながっている。

あー、ネタバレギリギリなのでここまでにしますが、これだけ文字がビッシリと書かれている小説なのに本当にとまらなくなります。

夜寝る前とかだと睡眠不足必至。

お気を付けくださいませ。

あ、あと学生時代に軽い気持ちで悪戯とかしていた人、なんとなく後ろめたさがある人、結構シビアな部分があるかもです。

お気を付けくださいませ。

裏表紙からの引用

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」

わが子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「親友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にて第6回本屋大賞受賞のベストセラーがついに文庫化! <特別収録>中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする