やっぱりこの人の文章好きだわ~。そして、ボロっと泣きました。
ええ、意外と泣かせられる本が好きだったりするんですが、猫モノであり、好きな作家さんであり、と3つ重なっての「旅猫レポート」。
いつも本屋にフラッと訪れて、適当に新刊やらおすすめやらを物色するスタイルが多いのですが、今回もそんな感じで手にした一冊。
そして帯に「これは僕らの最後の旅だ。」という文字を発見。なんとなく泣けそうな気配を感じ取った…わけでもないんですが、楽しみにしていた作品でした。
そうそう、きっと野良出身の猫ってこんな感じ
どちらかというと雑種で力強く生きてきている猫が好みで、野良育ちのずる賢さと時折みせる人懐っこさ。もし、言葉を喋れるとしたら
【顎を撫でながら訊くのは反則だろ。うっかり喉がぐるぐる鳴って、】(作中より抜粋)
なんて文章を読んでしまうと
「そうそう、きっとそんな感じで思ってるはず。顎は反則だー! って」
とニヤニヤ。あまりしつこいと嫌がられ、スッと離れていくところとか「まさにソレな」って思ってしまったり。
頭のいい猫の振る舞いがよく描かれていて、猫好きなら同意してしまう場面を多いと思います。
生きているモノとして経験する話だが
それは知っていて、動物を飼うことが色々な経験を与えてくれることは身をもって知っています。
何よりもつらいのは、別れの時であり、それを迎える立場と見送る立場が猫目線、人目線で描かれていきます。
最初はそれには触れずに、猫と連れ立って旧友に会いに行くんですが、だんだんと主人公の生い立ちがみえてきます。そして運命すら予感させる流れになっていきます。
もう、悲しく切ない流れになっていくのは分かっているんですが、それでも止められないまま一気に読んでしまいました。軽く嗚咽交じりで。
やっぱり、この人の作品は好きだなぁ。
エンタメとして読書を楽しみたいので、読みやすく、しかも心を震わせてくれる作品は本当に好きですね。
もし、泣き本を探しているっていう方がいたらおススメの一冊になりました。
裏表紙からの引用
野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。「僕の猫をもらってくれませんか?」一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。